IT技術者と言語開発環境とOS

Windows 7、Mac OS、Ubuntu、Google Chrome OS など、やっと本格的なOS戦国時代の幕開けとなりそうである。

MicrosoftのVistaの大失敗は、ユーザにその他多くのOSに目を向けさせることに成功し、結果として各種OSの品質を高めることに成功 した。
その立役者はもちろんネットブックたちである。
けれど、影の主役はプログラマをはじめとする多くの優れたIT技術者たちであるといえる。

Wintel(Microsoft Windows & Intel)軍勢のエントロピーを増大させる手法も終わりを告げ、ユーザたちは自ら「欲しいもの」と「必要なもの」と「必要でないもの」の区別をつけ到達 したゴールは、結局のところ基本に返る「情報の共有」というところだろうか。
Microsoftの最大の失敗はMeでもVistaでもなく、Visual Studioであろう。けれど、Visual Studioが良くないと言っている訳ではない。プログラマに素晴らしい開発用インターフェースを提供している。問題はそれが有料であったということだ。

10年以上前の話になるが、Windowsを良く理解し、高いプログラミング能力を持つ超一流の技術者たちは、仕事で止むを得ないケースは別として、その 有料で馬鹿高いVisual Studioを敬遠し、C言語でのAPI開発やLinuxへとその土俵を移し、学生たちは触ることさえできなかった。超一流とは言わないまでも、一流の技 術者たちがVisual Studioを理解し使いこなし、その情報が世に流れ、それを教育者たちが習得し学生に伝えるまでには長きの時間を必要とした。そして、その学生たちが世 で活躍し始め間もなく、有料が故の「サポート終了」というとんでもない結末を迎えた。Visual Studioで作成したアプリケーションは短期間での寿命を余儀なくされたのである。これによってVisual StudioによるWindowsアプリケーション開発をするということの痛手を被った多くの企業はOSSのJavaへと移行した。Javaは以前作った コードが今後も動くことを保障している。また、Javaへ移行したことにより、LinuxなどのWindowsよりも安定し、セキュアで無料の他OSを経 験することができるようになっていったのである。

こうして力のあるプログラマの多くはVisual Studioから離れていった。その後Visual Studioは、アカデミックパックを更に推し進めた、学生に対しての無償提供等を行うが時すでに遅し。多くの力のあるIT技術者たちはWindows離 れを推奨し、ネットブックという安価なコンピュータの登場によりUbuntu等のLinuxディストリビューションが、ユーザインターフェイスの素晴らし さでMac OSが、更に高速なWebマシンとしてのChrome OSが、となってきたのである。

Visual Studioが無償であったならば(もしくはWindowsのミドルウェアとして標準添付されていたならば)、現在の数十倍や数百倍を超える Windows専用のフリーウェアやOSSが溢れていたことであろう。多くの優れたプログラマはWindowsから離れることなく、Visual Studioを好んで使い、その素晴らしいGUI開発環境を堪能しつつ、素晴らしいアプリケーションを世に提供し、Windowsユーザはそれら多くの有 能なアプリケーションのためにWindowsを未来永劫使い続けたであろう。

今やそれも叶わぬ夢である。
今やプログラマだけではなく、優れたユーザもWindows(というよりMicrosoft)から離れ始めた。
Visual Studioから吹き始めた「有料が故の言語サポート終了」という強烈でがめつい嵐によって、IT技術者だけでなく一般ユーザもがMicrosoftから 離れていくことになるのであろう。
そうなると自民党から民主党へ移り変わったこと以上の劇的変化がわれわれ庶民の生活に影響を与える。
OSがMicrosoft WindowsからOSSのOSへと変わるのである。
今まで使い慣れたソフトウェアを手放さなければならなくなる。
だが、それも短い興奮であろう。
今のユーザは20年前のユーザとは明らかに異なる。
変化を好み、楽しむ心も持ち合わせている。
私は傍観者として、その移り変わりを楽しんで見届けることとしよう。
 

 

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